リンカーンに"理想の上司"を見る

2013.03.26

オトコに見せたいこの映画『リンカーン』 /第121週(火曜担当/松村 知恵美)


あのスティーブン・スピルバーグ監督が構想・製作に12年をかけて実現させた映画『リンカーン』。
アメリカという国をより良い方に導こうと、信念を貫く第16代大統領エイブラハム・リンカーンの晩年を描いた映画です。

リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイス、第85回アカデミー賞で主演男優賞を受賞したニュースをご記憶の方も多いのではないでしょうか。
ダニエル・デイ=ルイスは、私達が肖像画などで見るリンカーンそっくりの風貌で、静かに、しかし力強く、孤独な闘いに赴くリンカーン大統領の姿を演じています。


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この映画の舞台となるのは、1865年のアメリカ。時まさに南北戦争の真っ最中です。
1860年に大統領に初選出され、1863年に大統領に再選されたリンカーンはなんとしてもアメリカの奴隷制度を廃止したいと考えていました。

1865年、1861年に始まった南北戦争も4年めに突入し、北軍も南軍も疲弊していました。
世間では戦争を終結させろとの声が高まってきます。
今和平を申し入れれば、士気の落ちた南軍もすぐに了解するはずだ、と...。


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しかし、リンカーンはここで世論に屈しようとしません。
「ここで奴隷制度を認める憲法を改正しなければ、この先、奴隷が解放されることはない。奴隷制度を永久に禁止する合衆国憲法修正第十三条を可決し、奴隷制度を完全に廃止させた後でなければ、戦争の終結はない...」

しかも、まっとうな政治活動をやっていては、合衆国憲法修正第十三条が可決させる望みはないのです。
合衆国憲法修正第十三条を可決させるためには、過激なロビー活動や、高度な政治取引、さらに卑怯な手段までを駆使する必要がありました。


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未来のアメリカのために南北戦争を長引かせ、今この時、多くの若者の命を失わせてもよいのか?
正しい目的のためなら、多少間違った手段をとってもよいものか?

そんな命題を抱えつつ、リンカーンは一人で清濁あわせ飲み、信念と理想を貫き、孤独にアメリカを導いていくのです。

士気を落とす部下たちを前にした時も、様々な小話で彼らを笑わせ、鼓舞し、彼らの士気を高めていくリンカーンの手腕は、まさに理想のリーダー、理想の上司の姿を見るよう。
"アメリカのリーダー"という規模には及ばずとも、何らかの組織やチームを率いた経験のあるビジネスマンには、リンカーンの孤独や情熱なども理解できるのではないでしょうか。

一方で、いい夫であろう、いい父親であろうとしながらも、仕事に翻弄され、家族とうまく関係を築けずにいる彼の姿は、偉大なリーダーもまた一人の人間なのだということを教えてくれます。


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世界のリーダーという孤独な立場にありながら、理想を貫いて、まさに"世界を変えた"オトコ、エイブラハム・エイブラハム・リンカーン。
このリンカーンの葛藤を描いた映画『リンカーン』、奴隷解放宣言から150年目というこの2013年に、ぜひ観ておきたい一作と言えるでしょう。

(松村知恵美)


『リンカーン』(150分/アメリカ/2012年)
原題:Lincoln
公開:2013年4月19日
配給:20世紀フォックス映画
劇場:TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
公式HP:http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/


<STORY>
1865年1月、アメリカ第16代大統領のエイブラハム・リンカーンは苦境に陥っていた。大統領に再選されたものの、南北戦争は4年目に入り、人びとは疲弊していた。奴隷解放を実現するため、合衆国憲法修正第十三条の可決を目指すリンカーンだが、戦争を早く終結させるため奴隷解放は諦めて南軍との和平を優先すべきだという声が強くなっていたのだ。党の票をまとめる議会工作を進めるよう指示するリンカーンだが、可決のためには20票足りず...。


監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ダニエル・デイ=ルイス/サリー・フィールド/デヴィッド・ストラザーン/ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ジェームズ・スペイダー/トミー・リー・ジョーンズ/ハル・ホルブルック/ジョン・ホークス/ ティム・ブレイク・ネルソン/ブルース・マッギル/ガリヴァー・マグラス/リー・ペイス/ジャッキー・アール・ヘイリー/グレゴリー・イッツェン/ウォルトン・ゴギンズ/グロリア・ルーベン/ジャレッド・ハリス/デヴィッド・オイェロウォ/ウェイン・デュヴァル


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