人を惹きつける、凶悪事件の魔力

2013.09.17

オトコに見せたいこの映画『凶悪』 /第141週(火曜担当/松村 知恵美)


ある不動産ブローカーの男が、狙った土地や金を手に入れるため、弟分のヤクザに命じて実行させた3つの殺人事件。
死刑囚として服役していた実行犯のヤクザが、首謀者である不動産ブローカーを告発するために「新潮45」の記者に手紙を送り、その記者はその事件の真相を丹念な取材で暴き出しました。

その事件の真相と、犯人逮捕までの顛末を綴りベストセラー・ノンフィクション「凶悪―ある死刑囚の告発」が、映画化されました。

映画『凶悪』は、リリー・フランキーとピエール瀧という個性派俳優二人が、凶悪な殺人者たちを演じる、人間の凶々しさに迫った作品です。


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この映画でピエール瀧が演じるのは、元ヤクザの死刑囚・須藤純次。
義理人情に厚く、信頼する人のためなら人殺しでもなんでもする男。
しかし、キレると何をするかわからない不気味さを秘めています。

そして、もう一人のキーパーソンとなる、リリー・フランキーが演じる不動産ブローカー・木村孝雄。
彼は須藤に"先生"と呼ばれるインテリで、老人たちの死を巧みに金に換えていく男です。
その手腕は、まさに"死の錬金術師"と呼ぶに相応しい、血も涙もなく、笑いながら人を殺す人非人。


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山田孝之演じるジャーナリスト・藤井は須藤から手紙を受け取り、事件の真相を調べていくうちに、彼らの起こした事件、そして彼ら自身に惹かれていきます。
そして憑かれたように取材にのめり込んでいくのです。

事件にのめり込んでいく藤井の姿は、"悪"の魅力に抗えなくなっていく弱い人間を代表しているようです。
最初は傍観者として事件を見ていたものの、その悪に身近に触れるうちに、麻薬のようにその魅力に抗えなくなっていくのです。


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凶々しくも強烈な魅力を持つ、はかり知れない"悪"。
そして、抗いながらも悪に惹かれていく弱い人間。

なぜ人は凶悪事件を起こすことができるのか、人間はなぜ凶悪さを持っているのか、そんなことを考えさせられる映画『凶悪』。
ピエール瀧とリリー・フランキーの凶悪な顔と演技に、思わず震えてしまう一作です。


(松村知恵美)


『凶悪』(128分/日本/2013年)
公開:2013年9月21日
配給:日活
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
公式HP:http://www.kyouaku.com/


<STORY>
「明潮45」の記者・藤井修一のもとに、死刑囚・須藤純次から手紙が届く。それはかつて自分が犯した3件の余罪を告白するものだった。その首謀者の"先生"という男がのうのうと娑婆で生きているのが許せず、告発したいと言うのだ。"先生"は木村孝雄と呼ばれる不動産ブローカーで、彼の指示で老人を殺して木村が土地を手に入れていたと言う。上司からは須藤の取材を止められたものの、藤井は取材を続け、須藤の証言の裏付けをとっていく...。


原作:新潮45編集部
監督・脚本:白石和彌
脚本:高橋泉
出演:山田孝之/ピエール瀧/池脇千鶴/リリー・フランキー/白川和子/吉村実子/小林且弥/斉藤悠/米村亮太朗/松岡依都美/ジジ・ぶぅ/村岡希美/外波山文明/廣末哲万/九十九一/原扶貴子


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