金と刺激を求めたウォール街の狼

2014.01.28

オトコに見せたいこの映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 /第153週(火曜担当/松村 知恵美)


オトコたるもの、やっぱり成功して財をなしたい...、そう思う人は多いのではないでしょうか。

成功してお金を稼いで、美女を手に入れて、豪華な生活をしたい。
そう思うのは何も悪いことではないし、それを実践できるのはすごいことだと思います。

世界にはすごい人がいるもので、"ウォール街の狼"と呼ばれた実在の人物、ジョーダン・ベルフォードは、26歳で証券会社を設立し、年収49億円を稼ぎ出しました。
そして、スーパーモデルの若く美しい妻と結婚し、大豪邸や豪華別荘でリッチな生活をし、ヘロインや鎮静剤などのドラッグを常用し、ハイになっては狂乱を繰り広げていたのです。

しかし、並外れた成功を手にし、並外れた金を稼ぎ、並外れたゴージャスな生活を謳歌した彼は、3つのアメリカ政府機関から目を付けられ、一気に凋落してしまいます。。。

そんなトゥーマッチなジョーダン・ベルフォードの半生をマーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオが映画化してみせたのが、映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』。

ドギツくも華麗で刺激に満ちたジョーダン・ベルフォードの生き様、あなたはどう思うでしょうか?


cm_20140128_01.jpg


そのオトコ、ジョーダン・ベルフォード。

ニューヨーク・ウォール街で株式ブローカーとしてデビューしたその日に、ブラックマンデーが起こり務めていた証券会社が倒産してしまいます。
しかし、クズ株を売って設ける会社ですぐさま頭角を現し、トップディーラーに。

そして26歳でパートナーと共に証券会社「ストラットン・オークモント」を設立します。
富裕層たちに最初一流企業の安全な株を売って信頼を得て、その後リスクの高い小型株を売りつけて設けるというビジネスモデルを確立したストラットン・オークモントには、すぐに大きな儲けが転がり込んできます。
廃墟のような事務所に12人しかいなかったその会社は、拡張を重ね、700人の社員を抱える会社へと成長していきました。


cm_20140128_02.jpg


そんな成功を手にしたジョーダン・ベルフォードは、まるでカリスマ・ロックスターのよう。
ヘロインや鎮静剤などのドラッグをたしなみ、社内のパーティーにもコールガールや芸人たちを呼んでどんちゃん騒ぎ。
仕事でも、巧みなスピーチで社員たちの士気を上げ、彼らの感覚を麻痺させ、どんどん社員たちを盛り上げて行きます。

彼らにとって、クズ株を売って客から金を巻き上げるのは、酒、女、ドラッグと同じ、"刺激"のようなもの。
常軌を逸した刺激に慣れてしまった彼らは、"普通"のやり方では満足できない身体になっていきます。

浴びるほどの酒を飲み、手足が麻痺するほどのドラッグでトリップし、まっとうな方法では一生かかっても稼げないような大金を右から左に動かしていくのです。
人を騙すことになんの罪悪感も抱くことなく、その大金でとことん贅沢に興じていく...。


cm_20140128_03.jpg


レオナルド・ディカプリオ演じるジョーダン・ベルフォードは、けっして善人ではありません。
しかし、だからこそカリスマ的な魅力があり、呆れつつも惹き付けられてしまいます。

彼は、欲望を是とし、世間の規範に縛られることなく、欲望に忠実に、普通の人間にはできないことを成し遂げたオトコです。
自制心のタガを外し、普通の人間が"やりたくてもできないこと"をいとも簡単にやってみせる彼は、まさにウォール街のモンスターと言えるでしょう。


レオナルド・ディカプリオはそんな享楽的なモンスターになりきり、ある種、鬼気迫る演技を見せています。
あそこまで己と言うものを捨て去って、モンスターになりきれるのは、やはり彼にも「キャラクターを追求したい」という俳優としてモンスター的な側面があるということなのでしょう。

マーティン・スコセッシ監督も、そんなモンスターの"人並みはずれた"側面に容赦なく迫っていきます。
その容赦のなさが独特のユーモアを生み出し、観客はモンスター的な主人公と一体になり、彼の放つ刺激に麻痺させられてしまいます。
彼もまた、エンターテインメントを追求するモンスター的な監督なのです。


本作『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、時代の徒花とも言えるウォール街のモンスターを、エンターテインメントに対して徹底的なこだわりをみせるモンスター俳優、モンスター監督が描いた、一流の見せ物映画。
普通の人間に、モンスターのみが見ることのできる世界を垣間見せてくれる、刺激に満ちたエンターテインメントです。


(松村知恵美)


『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(179分/アメリカ/2013年)
原題:The Wolf of Wall Street
公開:2014年1月31日
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
公式HP:http://www.wolfofwallstreet.jp/


<STORY>
ジョーダン・ベルフォードが22歳の時、勤めていた会社がブラックマンデーで倒産してしまう。しかし、彼は新しい会社でもすぐ頭角を現し、パートナーのドニー・エイゾフと共に26歳でストラットン・オークモントという証券会社を設立する。大胆な戦略と見事な話術で、ジョーダンは客や従業員たちの心を掴み、会社はすぐに大きくなっていく。成功と金を手にしたジョーダンは、若いモデルのナオミと恋に落ち、すぐに彼女を手に入れるが...。


監督:マーティン・スコセッシ
脚本:テレンス・ウィンター
出演:レオナルド・ディカプリオ/ジョナ・ヒル/マシュー・マコノヒー/マーゴット・ロビー/ジャン・デュジャルダン/ロブ・ライナー/カイル・チャンドラー/ジョン・バーンサル/ジョン・ファヴロー/クリスティン・ミリオティ/クリスティーン・エバーソール/シェー・ウィガム/ケネス・チョイ/スパイク・ジョーンズ/イーサン・サプリー/マーティン・クレバ/マディソン・マッキンリー/バリー・ロスバート/ブライアン・サッカ/ジョアンナ・ラムレイ/P・J・バーン/クリスティーナ・キャス


■関連記事■
Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
オトコに見せたいこの映画 『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』
オトコに見せたいこの映画 『大脱出』
2013年オトコに見せたい映画10本
オトコに見せたいこの映画 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』


(c)2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

媒体資料