人生をリビルドしたカウボーイ

2014.02.18

酒好き、オンナ好き、ドラッグ好き。
カウボーイとして大好きなロデオに興じ、金が入れば美女たちと楽しい夜を過ごし、金がなくなれば友人たちを騙しては金を巻き上げる。

そんな男性がHIV感染に感染した時、どんな行動をとるでしょう?
これまでの自堕落な生活を反省して真面目な生活をしようとするか、自分の運命を恨み自暴自棄になるか、それとも運命を受入れただ医者の施す治療を淡々と受けるか...。

この映画『ダラス・バイヤーズクラブ』の主人公ロン・ウッドルーフは、そのどれとも違う人生を選びました。

彼の選んだ行動は、自分で薬について調べ、学び、有効な治療薬を探して、それを密輸するというもの。
さらには、同じHIV感染者を助け、なおかつ自分も裕福になれるよう、「ダラス・バイヤーズクラブ」というクラブを立ち上げてしまいます。

映画『ダラス・バイヤーズクラブ』は、運命を唯々諾々と受入れるのではなく、それを自らの手で発展させ、リビルドしていくオトコの物語なのです。


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1986年、エイズがまだ偏見の目で見られていた時代。
倒れて病院に運ばれたロン・ウッドルーフは、HIVに感染していることを宣告されます。

当時は、エイズは同性愛者がかかる病気だと考えられていたため、オンナ好きのロンは自分がHIVに感染したことが信じられません。
しかし、反発していても、自分がHIVに感染しているのは事実。
身体はどんどん痩せ細るし、おかしな咳は出るし、納得せざるを得なくなります。


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やがて自分がHIVに感染したことを納得したロンは、自分の納得する治療法を探し始めます。
最初は、アメリカで承認審査中の治療薬・AZTを求めていたのですが、アメリカで医師免許を剥奪された無免許医とメキシコで出会い、そこでAZTが毒性の高い薬であることを知るのです。
そして、HIV患者が安心して飲めるAZT以外の治療薬を手に入れ、アメリカに持ち帰り、新たなビジネスを始めるのでした。

そのビジネスとは、"ダラス・バイヤーズクラブ"。
女装をしたトランスジェンダーであるレイヨンをパートナーに立ち上げた"ダラス・バイヤーズクラブ"とは、月400ドルの会費を払うことで、ロンが(日本を含む)世界各地から密輸してくる安全なHIV治療薬を無料で配ってもらえるというもの。
このクラブ、HIV患者たちから大きな支持を得て、どんどん会員は増えていきます。
アメリカの医療界や製薬会社、政府たちから目を付けられてしまうくらいに...。


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ゲイを毛嫌いしていたロンでしたが、彼らと共闘し、お互いに利用しあいながらタフに病気を生き抜いていきます。
余命30日を宣告されたこともある彼が、HIVを飼いならしながら、したたかに7年間も生き抜いたのです。
ロデオを愛し荒馬を乗りこなすカウボーイの彼が、HIVという難病をうまく乗りこなしたオトコの象徴として描かれているのかもしれません。


そんなタフでしたたかなロン・ウッドルーフの姿を描いたこの映画『ダラス・バイヤーズクラブ』、第86回アカデミー賞で作品賞、脚本賞、編集賞、メイク・ヘアスタイリング賞、主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)の6部門にノミネートされています。
特に、21キロも減量して撮影に挑んだマシュー・マコノヒー、同じく減量して女装のトランスジェンダー役に挑んだジャレッド・レトは、主演男優賞、助演男優賞の本命とも見なされています。
果たして結果はどうなるか...。


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本作『ダラス・バイヤーズクラブ』、容姿をガラッと変えて役に挑んだマシュー・マコノヒーとジャレッド・レトの熱演だけでも、観る価値のある映画だと思います。


(松村知恵美)


『ダラス・バイヤーズクラブ』(117分/アメリカ/2013年)
原題:Dallas Buyers Club
公開:2014年2月22日
配給:ファインフィルムズ
劇場:新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて
公式HP:http://www.finefilms.co.jp/dallas/


<STORY>
1986年、ダラス生まれのロンは、女、酒、ドラッグに興じていたが、病院でHIV陽性と告げられてしまう。AZTという薬の存在を知ったロンは、医師のイブに処方を求めるが、拒否されてしまう。米国で医師免許を剥奪されたメキシコの医師を訪ねた彼は、AZTの薬害や他の未承認エイズ治療薬のことを知る。その薬をダラスに持ち帰った彼は、トランスジェンダーのレイヨンをパートナーに、"ダラス・バイヤーズクラブ"という薬を配る会費制のクラブを立ち上げる。


監督:ジャン=マルク・ヴァレ
脚本:クレイグ・ボーテン/メリッサ・ウォラック
製作:ロビー・ブレナー/レイチェル・ウィンター
撮影:イヴ・ベランジェ
出演:マシュー・マコノヒー/ジャレッド・レト/ジェニファー・ガーナー/デニス・オヘア/スティーヴ・ザーン/グリフィン・ダン/ダラス・ロバーツ/マイケル・オニール/ジェーン・マクニール/ジェームズ・デュモン/ブラッドフォード・コックス/ケヴィン・ランキン/ローレンス・ターナー/マシュー・トンプソン/アダム・ダン


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