ウォルトディズニーに学ぶ交渉術

2014.03.25

オトコに見せたいこの映画『ウォルト・ディズニーの約束』 /第159週(火曜担当/松村 知恵美)


ウォルト・ディズニーと言えば、ミッキーマウスの産みの親で、才能あふれるアニメーターとして知られています。
彼がいなければ、ディズニーの名作アニメの数々はこの世に誕生せず、現在大ヒット中の『アナと雪の女王』などの映画の数々も誕生しなかったかもしれません。

しかし、このディズニー、ただのアニメーターではありません。
彼は何度かの挫折を経て、アニメーションスタジオを軌道に乗せて規模を拡大し、ついに"夢の国"を現実に作り出してテーマパーク事業を大成功させたビジネスマンでもあるのです。

この映画『ウォルト・ディズニーの約束』では、天才アニメ監督、天才プロデューサーとしての彼の一面とともに、ビジネスマンであるウォルト・ディズニーの一面を見ることができます。
一向に話を聞いてくれない顧客をいかに振り向かせるか、顧客を満足させつつもいかに自分のクリエイティブを守るか、権利者の意見を尊重しつつもいかに利益を最大化できるよう施策を盛り込めるか...。
この映画を観れば、トム・ハンクス演じるウォルト・ディズニーの姿から、天才ビジネスマンのビジネス交渉術を学ぶことができるかも?


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この映画『ウォルト・ディズニーの約束』は、映画『メリー・ポピンズ』の製作過程を描いています。
ウォルト・ディズニーは、幼い娘に「大好きな『メリー・ポピンズ』を映画化してあげる」と約束します。

ロンドンに暮らすP.L.トラヴァース夫人に書かれたこの物語は、トラヴァース夫人にとって幼い頃の父親の想い出などを盛り込んだ、大切な物語。
トラヴァース夫人は、ディズニーからの映画化の提案に頑として首を縦に振りませんでした。

しかし、どんなに断られても、ディズニーはあきらめませんでした。
20年間、メリー・ポピンズ映画化の情熱を持ち続け、トラヴァース夫人が経済的に困っているという好機を見つけ、果敢にトラヴァース夫人を口説き落とすのです。

やっと口説き落としたトラヴァース夫人と脚本や内容についてミーティングを開けるようになったなら、ディズニーは彼女に心からのもてなしを見せます。
「アメリカ風の、陽気なアニメやミュージカルなんてとんでもない!」と頑固さを見せるトラヴァース夫人に、彼はどこまでも丁寧に接し、自らの思いの強さを感じさせるのです。
そして、基本的には信頼する部下たちに対応を任せつつも、いざと言う時には自分で彼女に熱くビジョンを語ります。


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彼女を開園したばかりのディズニーランドに連れて行っては自ら案内し、胸襟を開いて自分の幼い頃の父親の思い出などを語って聞かせるのです。
彼女を怒らせたと思ったら、どんな忙しいスケジュールを裂いてでも彼女のために時間を作り、自らロンドンに出向いてまでも、交渉を進めます。
そうやって、心からトラヴァース夫人と接しているうちに、彼女のこだわりの原因や、彼女の頑固さの根底にある傷ついた心を見抜き、その根本を解決する方向に持って行くのです。


やがて、そんな粘り強い交渉の結果、映画『メリー・ポピンズ』が出来上がります。

トラヴァース夫人が最も大切にしてきた物語の"コア"を見事に表現し、
部下たちのクリエイティブも最大限に発揮させ、
自らのこだわりである"アニメ""ミュージカル"というポイントも外さず、
観客を最大限に喜ばせ収益を最大化させるという経営者的視点も忘れず。

誰もルーザーにならないよう、すべてのステークホルダーが"Win-Win"になるように作品を作り上げて来たからこそ、彼の手がけた作品の多くが"普及の名作"として残っているのかもしれません。
そして、ウォルト・ディズニー・カンパニーが素晴らしい作品、素晴らしいコンテンツを作り続けているのは、そんなウォルト・ディズニーの魂が生き続けているからなのかもしれません。


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この映画『ウォルト・ディズニーの約束』には、素晴らしいコンテンツを作るためのウォルト・ディズニーのビジネスハックがいっぱいに詰まっています。
映画を楽しみつつ、天才・ディズニーの仕事法を学ぶことのできる、一挙両得な映画と言えるでしょう。

(松村知恵美)


『ウォルト・ディズニーの約束』(126分/アメリカ/2014年)
原題:Saving Mr. Banks
公開:2014年3月21日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場:全国にて
公式HP:http://disney.jp/walt


<STORY>
1861年、「メリー・ポピンズ」の著者、P.L.トラヴァース夫人は、20年にわたるウォルト・ディズニーからの「メリー・ポピンズ」映画化の提案を受入れることにする。気は進まないものの、経済的に困っていたのだ。ロサンゼルスを訪れたトラヴァース夫人は、ディズニーや作曲家のシャーマン兄弟らと映画化について話し合う。しかし、「アニメもダメ、ミュージカルもダメ」と厳しい条件を突き付ける彼女に、ディズニーらは途方にくれる...。


監督:ジョン・リー・ハンコック
脚本:ケリー・マーセル/スー・スミス
出演:トム・ハンクス/エマ・トンプソン/コリン・ファレル/ポール・ジアマッティ/アニー・バックリー/ジェイソン・シュワルツマン/B・J・ノヴァク/ブラッドリー・ウィットフォード/ルース・ウィルソン/ヴィクトリア・サマー/キャシー・ベイカー/レイチェル・グリフィス/デンドリー・テイラー


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