伝説の狙撃手は、英雄か悪魔か?

2015.02.17

オトコに見せたいこの映画 『アメリカン・スナイパー』/第169週(火曜担当/松村 知恵美)


1930年生まれ、御歳84歳の、クリント・イーストウッド。
若き日は俳優としてマカロニ・ウェスタン・ムービーや「ダーティ・ハリー」シリーズなどで活躍し、1980年代にはカリフォルニア州カーメル市の市長として政治活動も行っていました。
現在は主に映画監督として、『グラン・トリノ』、『J・エドガー』など、毎年のように素晴らしい作品を世に送り出しています。

そんなクリント・イーストウッドの最新監督作がこの映画『アメリカン・スナイパー』。
実在した"アメリカの英雄"の姿を鮮烈に描き出した、深い印象を残す一作です。


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本作の主人公、クリス・カイルは実在の人物。
テキサス州に育ち、カウボーイに憧れた少年が、海軍に入隊、厳しい訓練を経て、ネイビー・シールズの隊員となります。
そして2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件後、2003年にイラク戦争が開始された後、イラクへと派兵されます。

彼は、もともと狙撃の名手で、その狙撃の腕を買われ、兵士たちの活動をバックアップするために敵を狙撃する狙撃手となります。
仲間の兵士たちを狙う敵をいち早く発見し、敵が仲間を襲う前に一撃で倒すのが、彼のミッションなのです。

1.9キロ離れた的をも射抜くという狙撃の精度を誇る彼は、米軍史上最多の160人の敵を射殺しました。
味方からは"伝説の狙撃手"とあがめられつつ、イラクの反政府武装勢力からは"ラマディの悪魔"と恐れられ、2万ドルの賞金を懸けられたと言います。


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彼が4度もイラクへ出征したのは、祖国を守るため。
彼がイラク兵を射殺するのは、仲間の兵士を守るため。
国のため、仲間のために、クリス・カイルは敵であるイラク反政府武装勢力の兵士たちを殺し続けます。


そんな彼には、祖国で待っている愛する家族がいました。
はるか離れたイラクで戦う夫の無事を祈る、美しい妻。
英雄である父親を誇りに思い、父を慕う子どもたち。
英雄である兄を重荷に思う、同じアメリカ兵である弟。

そんな家族に囲まれているにも関わらず、カイルは、愛する家族たちを置いて、4度も戦地に赴きます。
まるで、戦地で感じる緊張感や高揚感の、中毒になっているかのように...。


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クリント・イーストウッド監督は、そんなクリス・カイルの様子を"英雄"として持ち上げ過ぎることなく、一人の男として、静かに描いています。

このクリス・カイルを演じているのは、ブラッドリー・クーパー。
見事に肉体を改造し、一人の若者が屈強な兵士となり、そして伝説の英雄となっていく様子を、身体と顔つきで表現してみせました。


妻を愛する夫、子どもを愛する父親、仲間を守る狙撃手、祖国を守る英雄、そして160人を射殺した男、クリス・カイル。
彼の人生を、観客はどう思うのでしょうか...。


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(松村知恵美)


『アメリカン・スナイパー』(132分/アメリカ/2014年)
原題:American Sniper
公開:2015年2月21日
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:全国にて
Official Website:http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/


<STORY>
1999年に海軍に入隊し、ネイビー・シールズの一員となったクリス・カイル。彼は訓練中に出会ったタヤという美女と結婚する。アメリカ同時多発テロ事件後の2003年、イラクに派遣され、狙撃手として海兵隊員たちを守る任務を担当することに。1.9キロ離れた地点から敵を正確に射抜く腕で、仲間たちから"伝説の狙撃手"と呼ばれるようになる。タヤとの間には二人の子どもが生まれるが、クリスは彼らを祖国に残し、4回にわたりイラクに赴く...。


原作:クリス・カイル
監督・製作:クリント・イーストウッド
脚本:ジェイソン・ホール
出演:ブラッドリー・クーパー/シエナ・ミラー/ジェイク・マクドーマン/ルーク・グライムス/ナビド・ネガーバン/ケビン・ラーチ/コリー・ハードリクト/キーア・オドネル/マックス・チャールズ/カイル・ガルナー/サム・ジェーガー/エリック・ラディーン/ベン・リード/エリース・コバートソン/コール・コニス/ルーク・サンシャイン


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