はじめての能〜演目「養老」

2013.10.31

白翔會は、能楽師・坂井音重師の芸術活動の後援を目的として活動している団体です。

日本の大切な伝統文化である『能』を少しでも多くの方に知ってもらうため、
毎週、ひとつずつ能の演目を紹介して参ります。

◆能【養老】

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雄略天皇の御代のこと美濃国本巣郡に霊泉が湧き、勅使が遣わされます。勅使が養老の滝に着くと、霊泉を見つけた親子と出会い、養老の滝の謂われを聞きます。霊泉の場所を教えられた勅使が帰ろうとすると、天から光がさし、花降り音楽が聞こえ、ただならぬ様子と見るうちに山神が現れ泰平の御代を讃えて颯爽と舞います。

〜舞台展開〜 

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ワキ・ワキツレが〈真ノ次第〉の囃子につれ晴れやかに登場します。〈真ノ次第〉は「養老」のような初番目の能に特有なワキの登場の囃子です。

 

シテはツレを先立てて〈真ノ一声〉の厳かな囃子で閑かに登場します。シテは老人、ツレは若い男の姿です。ツレは橋掛・一ノ松、シテは三ノ松で向かい合います。やがてシテ・ツレともに舞台に入ります。このくだりは親子が霊泉を讃えている場面です。勅使は親子と出会い、養老の滝の謂われを聞きます。滝壷の側の岩間に湧く霊泉の在り処を教えられ、この事を奏聞しようと帰りかける勅使。天より光さし、音楽が聞こえ花が降りただならぬ様子となり、シテ・ツレは〈来序〉の囃子で(中入)します。

 

後シテは山神、若い神の姿で、〈出端〉の囃子で現れます。透冠を着け、袷狩衣に大口(袴)の姿です。颯爽と早いテンポの神舞を舞います。

 

 

〜鑑賞〜yourou03.jpg 

この曲の大きな特徴は、前シテが後シテの仮の姿ではないという所です。前シテは霊水を飲み若さを取り戻した老人。ツレはその息子で霊水を発見して父に飲ませた孝行な青年。後シテは養老の山の神です。

 

日本人は古来、森羅万象に神が宿ると考えて来ました。轟音鳴り響き、水が枯れることもなく落下する滝は正に神の姿そのものです。その流れのように一気呵成に神舞が舞われます。

(白翔會)

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